10年で総額いくら? 人気車4台を“実質コスト”で並べてみた

最終更新:2026年10月23日(数字は2026年10月時点の概算・推定)

道路に並ぶ4台の車と、上下する折れ線グラフ、硬貨とカレンダーのイラスト

クルマを選ぶとき、多くの人が最初に見るのは車両価格や月々の支払いです。でも10年乗ったときに出ていくお金は、車両価格の2.5〜3倍ほどになります。この記事では、よく比較される4台――スズキ スイフト、トヨタ ライズ、日産 ノート、スズキ ジムニーシエラ――を、10年間の総額から売却額を引いた「実質総額」で並べます。

先に結論を言うと、10年乗るならスイフトとライズがほぼ同着で最安、5年で売るならジムニーシエラが逆転して最安です。そして、維持費が4台で一番安いノートは、10年でも5年でも最下位でした。「どの車が安いか」より「何年乗るか」のほうが答えを大きく左右します。

このサイトでは、早めに売ってリセールで得をする考え方を短期型、長く乗り続けて維持費の安さで得をする考え方を長期型と呼んでいます。この記事は、サイト全体の数字の基準になる記事です。

計算式はシンプル

実質総額 = 車両価格 + 維持費(税金・保険・車検整備・燃料・駐車場) - 売却額

維持費だけを見ても、車両価格だけを見ても足りません。最後に「売ったときに戻ってくるお金」を引くと、本当のコストが見えます。

4台を並べるとこうなる(10年保有)

表は「長期型(維持費で得する車)」と「短期型(リセールで得する車)」に分けて並べています。安い順に並べると、車両価格の高いリセール型の車が下に沈んで、比較のポイントが見えにくくなるためです。順位だけ知りたい人向けに、記事の最後に順位表も置いています。

新車・10年保有・年1万km。2026年10月時点の概算。売却額は推定値。前提は本文末尾と数字の基準表を参照。
項目スイフト
長期型
ライズ
長期型
ノート
長期型
ジムニーシエラ
短期型
車両価格(代表グレード)192.3万円185.7万円239.9万円218.4万円
自動車税 10年30.5万円30.5万円30.5万円30.5万円
重量税(新車時+車検4回)9.0万円9.0万円13.5万円13.5万円
自賠責(新車37ヵ月+24ヵ月×4)9.9万円9.9万円9.9万円9.9万円
任意保険 10年60.0万円60.0万円60.0万円60.0万円
車検・整備費 4回40.0万円42.0万円44.0万円46.0万円
ガソリン代 10年69.4万円82.1万円59.9万円118.9万円
駐車場 10年120.0万円120.0万円120.0万円120.0万円
維持費 小計338.9万円353.6万円337.9万円398.9万円
10年総額(車両+維持費)531.1万円539.3万円577.8万円617.3万円
10年後の売却額(推定)48.0万円56.0万円36.0万円76.0万円
実質総額483.1万円483.3万円541.8万円541.3万円
1年あたり実質コスト48.3万円48.3万円54.2万円54.1万円
リセール回収率25%30%15%35%

発見1:ノートは「維持費が一番安いのに、一番損をする」

e-POWERは燃費が良く、10年の維持費は337.9万円と4台で最も安い数字です。それでも実質総額は541.8万円で、4台の中で最も高くなりました。

理由は2つあります。1つは車両価格の高さ。代表グレード(X・2WD)で239.9万円と、4台で一番高い価格です。燃費で稼いだ差を、買った時点でほぼ使い切っています。

もう1つはリセールの弱さ。10年・10万km走ったノートの買取相場は30万円台が中心で、車両価格の15%前後しか戻りません。中古市場では、日産ブランドへの信頼の低下、新車値引きやフリート販売による中古車の大量流入、e-POWERの駆動用バッテリーの劣化への不安などが、相場を押し下げる要因として挙げられています。燃費の良さは、売るときには取り戻せないということです。

発見2:ジムニーの「リセール最強」は、10年・10万kmでは効かない

ジムニーシエラはリセールランキングの常連で、「買っても損しない車」と言われます。たしかに5年落ちの相場は驚くほど高く、2021年式は走行5万km前後でも150〜180万円台の買取実績が並んでいます。

ところが10年・10万kmになると話が変わります。推定売却額は76.0万円(回収率35%)。4台の中では一番高いものの、燃費の悪さ(WLTC 14.3km/L)でガソリン代が118.9万円と飛び抜けて高く、その差を埋めきれません。結果は541.3万円で、ノートとほぼ並ぶ下位グループでした。

つまりジムニーの強さは「長く持つほど効く」のではなく「早めに手放すほど効く」。これが次の保有期間の話につながります。

発見3:スイフトとライズは地味に強い

スイフト(483.1万円)とライズ(483.3万円)の差はわずか1,200円。誤差の範囲で、事実上の同着です。どちらも車両価格が200万円を切り、維持費は中くらい、リセールも極端には悪くありません。派手さはないものの、10年単位で見ると一番堅い選択です。スイフトは燃費、ライズはリセールと、勝ち方が少し違う点も面白いところです。

保有期間で、勝者が入れ替わる

ここがこの記事で一番伝えたいところです。同じ前提で5年で売った場合を計算すると、順位がひっくり返ります。

5年保有は車検1回・年1万km(5万km時点で売却)。5年後売却額は2021年式の買取実績から出した残存率による推定。
車種5年の実質総額1年あたりリセール回収率10年の実質総額1年あたり(10年)
ジムニーシエラ230.1万円46.0万円80%541.3万円54.1万円
ライズ240.0万円48.0万円60%483.3万円48.3万円
スイフト244.7万円48.9万円55%483.1万円48.3万円
ノート276.6万円55.3万円50%541.8万円54.2万円

5年で売るなら、ジムニーシエラは車両価格の約80%が戻ってくる計算になり、実質総額は230.1万円で4台のトップです。燃費の悪さよりリセールの強さが勝ちます。一方で10年乗ると回収率が35%まで下がり、維持費の重さが表に出てきます。

まとめると

  • 5年前後で乗り換えるなら → リセールの強い車(短期型)。今回はジムニーシエラ
  • 10年乗り潰すなら → 車両価格と維持費の安い車(長期型)。今回はスイフトとライズ
  • ノートは今回の条件では5年でも10年でも不利。燃費だけで選ぶと見落としが出る

費用の中身:何がいくらかかっているか

税金

4台とも排気量は1.0〜1.5L以下の区分で、2019年10月以降に新車登録した車の自動車税は年30,500円です。重量税は車検のたびに払う税金で、車両重量1トン以下(スイフト・ライズ)と1.5トン以下(ノート・ジムニーシエラ)で金額が変わります。エコカー減税の対象になるグレードでは、実際の負担はこの表より安くなります。

保険

自賠責は2026年11月の改定後の料金(普通車37ヵ月25,180円、24ヵ月18,560円)で計算しています。任意保険は年齢・等級・地域で大きく変わるため、4台とも年6万円に固定しました。実際には車種別の料率クラスの差も出ます。

車検・整備

10年保有なら車検は3・5・7・9年目の4回です。整備費(法定費用以外)は1回10〜11.5万円で置いています。依頼先(ディーラー・整備工場・車検専門店)で数万円単位の差が出る項目です。

燃料と駐車場

燃料代は年10,000km、レギュラー170円/L、WLTCモード燃費で計算しています。実燃費はWLTCより悪くなるのが普通なので、燃費の悪い車ほど実際の差は広がります。駐車場は月1万円としました。都市部では倍以上になることもありますが、4台で同じ額なので順位には影響しません。

前提と注意

  • 2026年10月時点の概算・試算です。数字は条件で大きく変わります
  • 新車購入・現金一括、10年(または5年)保有、年1万km走行
  • 車両価格は代表グレード1つの税込価格。オプション・諸費用・値引きは含みません
  • 売却額は中古相場からの推定値で、将来の価格を保証するものではありません
  • ジムニーシエラの5年後売却額は2021年式の買取実績、その他の車種も同年式の相場から出した残存率による推定です
  • エコカー減税・補助金・ローン金利は考慮していません
  • 数字の出典と更新履歴は数字の基準表にまとめています。他の記事はこの表の数字を参照します

実質総額ランキング(10年保有)

順位車種10年の実質総額1年あたり
1位スイフト483.1万円48.3万円
2位ライズ483.3万円48.3万円
3位ジムニーシエラ541.3万円54.1万円
4位ノート541.8万円54.2万円

自分の条件で計算してみる

上の表の数字を、自分の条件に置き換えてみてください。特に変わりやすいのは次の4つです。

  1. 何年乗るか(ここで勝者が入れ替わる)
  2. 年間の走行距離(燃料代と売却額の両方に効く)
  3. 駐車場代(地域差が一番大きい)
  4. 任意保険(年齢と等級でかなり変わる)

次はどこを読む?

出典